London Museum to Return 72 Artifacts to Nigeria
The Horniman Museum in south-east London said it would return 72 artifacts, looted in the 19th Century from the Kingdom of Benin, to Nigeria.
■チェック
・return A to B AにBを返す
・artifact(s) (博物館の)収蔵品
・the Horniman Museum 【英国】ホーニマン博物館
・looted 略奪された、盗品の
・19th Century 19世紀
・the Kingdom of Benin ベニン王国
■対訳
「ロンドンの博物館、収蔵品72点をナイジェリアに返還へ」
ロンドン南東部にあるホーニマン博物館が、19世紀にベニン王国から略奪された同館の収蔵品72点をナイジェリアに返還する、と発表した。
■訳出のポイント
タイトルの頭の部分では、
不定冠詞 a が省かれているので、注意しましょう。
つまり、
(A) London museum で
「ロンドン(にある)博物館(のひとつ)」
ということです。
そして、その博物館の具体名は
The Horniman Museum 「ホーニマン博物館」
であると、本文の文頭で示されていますね。
return はもともと
「戻る」 「帰る」
という動詞で、
目的語をとって(他動詞として)
物などを 「戻す」 「返す」
という意味でもよく使われます。
そこで
return A to B で
「Aをに戻す」 「AをBに返す(返還する)」
という言い方になっています。
artifact は
自然物に対する 「人工の物」 「加工物」
を指す名詞。
道具、武器、工芸品などが含まれます。
museum artifacts だと
「博物館(が所蔵する)(人工の)物」 → 「(博物館)の収蔵品」
の意味になります。
今日記事では、主語が museum 「博物館」 ですから、
artifacts =「収蔵品」
と訳すのが適切ですね。
本文の [,] にはさまれた
looted in the 19th Century from the Kingdom of Benin
の部分は、
直前の
72 artifacts 「(博物館の)収蔵品72点」
にかかっています。
loot はもともと
「戦利品」 「略奪品」 「盗品」
という名詞。
ここから、
戦争や暴動の時に
「~を略奪する」「~を強奪する」
という動詞としても使われます。
したがって、この部分は
「19世紀にベニン王国から略奪された(収蔵品72点)」
となるわけです。
the Kingdom of Benin 「ベニン王国」は
12世紀から10世紀の終わりまでナイジェリア南部の海岸地帯に存在した王国。
1897年に英国とベニン王国の間に紛争が起こり、英国がベニンを占領する形で王国は滅亡しました。
この紛争の際に、多くの文化財、とりわけ
Benin Bronze 「ベニン・ブロンズ」
と呼ばれる青銅彫刻が英国によって略奪されました。
今回、その略奪品である収蔵品をナイジェリアに返還することを表明した、ロンドンのホーニマン博物館は、
the first British government-funded institution to hand back artifacts looted by British forces in 1897
「1897年に英軍が略奪した収蔵品を返還する最初の英国政府出資機関」
になる、ということです。
現在は独立国家となっている場所から不当に持ち去られた文化財は、もとの国、その人々に返還すべきとする声が、近年は世界的に高まっていますね。
■編集後記
戦争における略奪以外にも文化財の違法な譲渡(窃盗含む)というのはこれまで数多くおこなわれてきました。ただ善意の第三者を介して博物館などに渡った場合、その博物館の目玉となることもあり、返還を拒否し、年数を決めて貸与(レンタル)する場合もあるそうです。ちなみに大英博物館はすべての返還要求を拒否しているとか。。あまりにも価値が高い文化財は、返還を要求する国の管理能力に問題があるといった理由もあるようです。
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今日の動画
https://youtu.be/Lcb13Akoh5k
(裏)今日の東京は快晴で無風。照り返しが強烈。暑かったー・・・