Cloned Mice Created from Freeze-dried Cells in World’s First
Japanese researchers have successfully created cloned mice using freeze-dried somatic cells for the first time in the world, a breakthrough that could help revive populations of endangered species.
■チェック
・create cloned mice クローンマウスを作り出す
・successfully + V ~することに成功する
・freeze-dried (somatic) cells 凍結乾燥(体)細胞
・(the) world’s first 世界で最初(のできごと)
・breakthrough ブレイクスルー
・revive 復活させる、復興させる
・population(s) 個体数
・endangered species 絶滅危惧種
■対訳
「凍結乾燥細胞からクローンマウス、世界初」
日本の研究チームが、凍結乾燥した体細胞を用いてクローンマウスを作り出すことに世界で初めて成功し、絶滅危惧種の個体数復活に役立つ可能性があるブレイクスルーとなった。
■訳出のポイント
clone 「クローン」 は
完全にそのまま日本語になっていますね。
生物用語で、
《単一の細胞あるいは単一の個体から
無性生殖的に発生した遺伝的に同一の細胞(個体)群》
を意味します。
また、
「~を無性生殖させる」 「~をクローンとして増やす」
という動詞としても用いられるので
その過去分詞が形容詞化した cloned は
「クローンとして増やされた」 「クローン化された」 →
「クローンの」
となっています。
そこで、
cloned mice は
「クローンとして増やされたマウス」 → 「クローンマウス」
ということですね。
mice は
Mouce 「ネズミ」 「マウス」 の複数形
であることも、確認しておきましょう。
first は
「1番目の」 「最初の」
という形容詞としておなじみですが、
「(~する)最初の人(物、できごと)」
という名詞としても使われ、
書物の 「初版」
などを指す場合もあります。
ここから
world’s first だと
「世界で最初の人」 「世界で最初のもの」 「世界で最初のできごと」
という意味になるわけです。
このとき、
the world’s first と
定冠詞 the がつくのが通例ですが、
今日の場合はタイトルなので省略されています。
in (the) world’s first で
「世界で最初のできごとの中で」 → 「世界初の研究で」
という意味合いになっていますね。
break through はもともと
「打ち破る」 「突破する」
という成句。
ここから、
科学者などが(努力の末に)「大発見をする」
という意味でもしばしば使われます。
この成句が名詞化したのが
breakthrough で
研究などにおける 「大発見」 「大成功」 「躍進への突破口」
の意味になります。
また、
交渉やビジネスにおける
「突破」 「打破」 「進展」 「打開」
という意味でも使われています。
文脈によってはピッタリくる日本語訳が見つかりにくい単語
ということもあり、
日本語でも
「ブレイクスルー」 あるいは 「ブレークスルー」 と
外来語として定着しつつありますね。
今日の対訳でも
「ブレイクスルー」 を採用しています。
freeze dry 「フリーズドライ」 「凍結乾燥」 とは、
物体をマイナス30度どで急速冷凍し、真空状態にして水分を抜き、
乾燥させる技術。
現代では保存食や宇宙食などの製造において、
さかんに応用されています。
今回は、この技術を用いて
“フリーズドライして最長9ヶ月間保存した体細胞”
を用いてクローンマウスを作り出す実験に、山梨大学の研究チームが世界で初めて成功したニュースです。
気候変動や頻発激化する災害などもあり、生物多様性を維持するためには動植物の遺伝子資源の保存が重要です。
しかし、既存の液体窒素を用いる保存法は困難かつ高価、大規模震災などで液体窒素供給が止まると溶けて利用不能になってしまうという課題もあります。
そこで、同大学では20年以上前から、より安価で利便性の高いフリーズドライ技術を用いた保存方法の研究を進めてきたそうです。
これまでも、精子細胞のフリーズドライ保存はすでに約四半世紀前に成功し、一般的になりましたが、精子以外の細胞のフリーズドライ保存の成功例は今回が世界初。
そして、フリーズドライ保存したマウスの体細胞(皮膚の細胞)を用いて、クローンマウスを作り出すことにも成功した、というわけです。
■編集後記
フリーズドライした細胞からクローンを作成というのは、かなりの breakthrough のような気がします。今回の実験では合計75匹のクローンマウスを作り出すことに成功したものの、その成功率は0.02%。最初に誕生したクローンマウスに「ドラミ」という名前をつけたというのが日本らしいです。
今日の動画
https://youtu.be/QPNzGS0gJbk
(裏)今週から自社主催のリアルイベントが多数・・・感染者が増えてるので神経を使います。